それなぁに?

3/3
前へ
/3ページ
次へ
ようやく側まで辿り着いた座敷わらしを、自分の隣に座らせて、布団をしっかり被せてやると、最初こそハテナマークを浮かべていた彼女だったが、次第にきゃっきゃっとはしゃぎ始めた。 「うわぁぁ…っ!! あったかい!! あったかぁ~い!!」 「ふふ、面白いでしょ?」 「うんっ!!」 足をばたつかせながら、元気いっぱいに頷く座敷わらし。 そんな愛らしい姿に、私はまた苦笑してしまう。 「こら、暴れないの」と言えば、「はぁい」と静かになるが、それでもやっぱり興奮が収まらない様子で。 目を輝かせたまま、そこに鎮座する座敷わらしがなんだか面白くて、ふふっと小さく笑いをこぼす。 「じゃあ、お餅も焼いてあげようか。一緒に食べる?」 「おもちっ!? やったぁ~!!」 わぁい!! と再び大はしゃぎする座敷わらし。 こんなに明るい家はいつ以来だったかな、と私は不意に思う。 一人暮らしを始めてから、静かな部屋に少し寂しさを感じていたものだから、賑やかな彼女といるのはちょっぴり楽しい。 座敷わらしなんて妖怪とは、名ばかりな気もする彼女だけれど、これからしばらくこの子と過ごすのも、悪くはないかな。 「おっもち♪ こったつ♪ あったかぁ~い!」 「だから暴れないの~! お餅焼いてあげないよー?」 「わぁー! ごめんなさぁい!」 予想以上に賑やかになりそうです。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加