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第一章 君の彼氏になりたい
目が覚めたら、ここではないどこかにいたらいいなと思うことがある。でも、何度目が覚めても必ずここにいる。何回かそんなことがあったあと、ここではないどこかに行きたいと思ったこと自体、私はいつしか忘れてしまった――
今、〈あなたは実は不治の病であと半年の命です〉と言われても、私はそんなに驚かないし、悲しまない自信がある。そんなどうでもいい自信はあっても、このまま何事もなく長生きできたとしてずっと幸せでいられる自信はあまりない。
めんどくさいやつだと思う。でもそれでいい。何もかもどうでもいい。生きることも死ぬことも、誰かを愛することも。
自分でもあきれるくらい無気力な私だけど、ひそかに好きな人はいたりする。もちろん片想いだけど、それでいい。だって万一彼と両想いになれたりしたら、どうしていいか分からないし、何よりめんどくさそうだから。
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