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分からない。分からないし、考えたくもない。でも、彼女を一人にしたくないという気持ちもあった。たった一人で戦い続ける彼女の瞳は空虚で、どれだけの苦しみを背負ってきたのか、それを想像するだけで気が狂いそうだった。
助けたい、でも、もう関わりたくない。相反する考えが頭の中で戦い、その度に同じ結論を出す。どんな理由があれ、俺には無理だ。続けられる気がしない。
弱いと責められようと、何度問いかけられようとも、それが俺の答えだった。カフェを出て、七海カナタと別れる。
初めて彼女と出会った時と同じように、赤い陽が傾いていた。
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