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七海カナタの身体――体操服から伸びる脚、半袖で露わになった細い腕を見つめながら思う。あんな戦いの後でも、一晩経てばもとに戻っている。彼女と出会って、もう二度も刺しているのに、その痕跡はまるで何も見つからなかった。彼女の表情だってそうだ。あんなことが起っても、眉一つ動かさない。まるで時間が止まっているようで――ふと思い出す。
「もう千年になる」
彼女は確かにそう言っていた。彼女の時間は実際に止まっているんだ。悪魔との戦いを千年も? 死なずに? 一体何故? カナタたち自殺者を戦わせる死神の目的は? いくら考えても分からない。七海カナタ――名前の通り、近くにいるのに、遠くにいるみたいだ。
「カナタ……」
「名前呼び?」
振り向くと渡辺ミナモがニヤニヤ顔で聞き耳を立てていた。
「うわぁ! ミナモさん!」
「へぇ、七海さんのこと、もう名前で呼んじゃう仲なんだ。私なんか小学生からの付き合いで、部活も一緒なのに、呼び捨てしてくれないよね」
「いや、これは言い間違いというか、聞き間違いというか」
「あ、分かった」
ミナモは何か閃いたのか、目を細めて悪戯っぽく笑った。
中学の頃からの付き合いだから知っている。こういう時の彼女は、何も分かっていない時だ。
「好きな子には積極的になるタイプなんでしょ?」
「何言ってるんだよ!」
思っていた通りだ! 何言ってるんだ、この子は!
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