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(1)
僕は朝が苦手だ。
特に冬の朝は寒くていけない。
だから、今日も僕は冬の相棒に包まった。
定位置に着く。すると、決まってお母さんの声が聞こえてくるのだ。
「陽太! いつまでもこたつに潜ってないの!」
朝からキンキン声。
ここからでもよく聞き取れる。
「あと五分……」
僕は布の奥から要望を伝えた。そしたら、お母さんは、もっとキンキン声になって言ってきた。
「そんなに潜ってると猫になるわよ?」
お母さんこそ、そんなにキンキン言ってると猿になるよ?
って、僕は思った。
「温まらないと動けないよ」
そう、温まらないと人間動かないんだよ?
僕はもぞもぞと体をくねらせながら言ってみた。それを聞いたお母さんは、なかば呆れて僕に言った。
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