3.姉との過去

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「……彼が居なくなる寸前……仕事で出張する……って言ってた……」 「出張? どこにー?」 「()()()……そこで商談があるって……会社の資金繰りのために……私の貯金を借りれば……取引がまとまるって……言うから……私は、お金を下ろして……ああああっ……!」 「あーっもーいーよ喋らないでー。ありがとーね、そっかー宮崎、宮崎ねー……」  姉をいさめがてら、妹は警部に目配せした。  誌崎は黙って頷く。  恒松悠は出張という名目で姿をくらましたのだろう。姉の財産を搾取し、そのまま高飛びして失踪。よくある手口だ。 「では私も宮崎まで飛んでみますかな」  誌崎が渋面で告げた。これで詐欺師の行方を辿れるなら御の字だ。  隣で愴助も首肯する。 「絶対に許せませんね。必ず()()の尻尾を捕まえて下さい!」  その瞳は怒りに燃えていた。迫真すぎて、芝居がかった大袈裟な義侠心にも映った。    *
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