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「あとは理斗とのんびり食うからさ」 「左様でございますか。それでは失礼いたします」  深々と頭を下げた染谷とメイドたちが食堂を出ていく。その様子を横目に理斗はため息をついた。ことあるごとに理真は自分と二人きりになりたがる。それがとても困るのだと何度言っても理真は聞き入れてくれない。  理斗は自分を見つめる理真の視線を痛いほど感じていた。気づかないふりをして黙々と食事を続けていると、理真が「ごちそーさん」とナイフとフォークを投げ出した。ひどい音を立てた食器につい顔を上げてしまった理斗は、理真が赤ワインのグラスを傾けながらこちらを見ていることに気づいて慌てて顔をそむける。 「理斗」 「なんだ」 「まだ覚悟決まんない?」  グラスを一気に空にした理真が近くに置かれた赤ワインのボトルをつかんでなみなみと注いだ。理斗はナイフとフォークを動かす手を止めることなく用意していた答えを口にする。 「何の覚悟だ?」 「俺とエッチする覚悟。ちゃんと番らしくしようって言ってんの」 「そんな覚悟はするつもりはないし、俺は理真を許していない」  音もなくナイフとフォークを置いた理斗はナプキンで口元を拭うと話を打ち切るために立ち上がった。
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