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「あああっ。理真、待って。俺また……っ」
「いいよ。俺も、理斗の中に、出す」
「ん、うあ、あああっ」
理斗が達した瞬間、体内に大量の精液が注ぎ込まれるのを感じたが、理真がじっとしていたのは一瞬のことだった。
汗で襟足に張りついた理斗の髪をやや乱暴な手つきでかき上げた理真が、あらわになった理斗のうなじに強かに噛みつく。
「う、あっ。ああ!」
絶頂の余韻も冷めやらぬ内にうなじに歯を立てられた理斗はビクビクと体を跳ねさせた。体の中にはまだ理真の精液が注がれ続けていて、それすらも刺激になってしまう。
「……まだ出るのか?」
「あーごめん。出し切るまで長いんだよね。うなじは痛くない?」
ベータの男性に比べるとアルファの男性の射精時間は非常に長く、二十分から三十分ほどを要し精液の量も多い。確実にオメガを孕ませるための仕組みだと考えられていて、アルファの性器は一度挿入すると射精するまで抜けない形になっているのも特徴だ。
力いっぱい噛んだ理斗のうなじにそっとくちづけを落として傷を舐めてくれる理真はとても優しいと思うけれど、どこもかしこも過敏になっている今の理斗にはその唇や舌の感触はつらいだけだった。
「うっ。理斗、力抜いて。痛いから締めないで」
「んんっ。だったら触るな。早く終われ……あ、うっ」
「ひどい! 抱っこくらいさせて」
理真は繋がったままの状態の理斗を器用に抱き起して自分の上に座らせ、背中から抱きしめる。自分の腹に回された理真の両腕を叩いていた理斗は左手首の傷跡に気づいて手を止めた。
「俺のこと許してくれる?」
理斗の背中にくちづけながら理真が小さな声で問いかける。くすぐったさに身をよじりながらも理斗は理真の左手を抱えて怒鳴った。
「最初から許してる!」
「え……?」
「理真が『許すな』って言ったからだ。どれだけ俺が頑張って許さなかったと思ってるんだ!」
自分を番にした理真を許す許さないの基準で考えたことはない。もし許せないのだとしたら理斗のために死んで番を解除しようとしたときのことだけだ。理斗が自分の左手を抱えていることに気づいた理真が「あっ」と慌てて手を引っ込めた。どうやら理斗に傷跡を見せることに抵抗があったらしい。
「ごめん」
長い沈黙ののち、理真は消え入りそうな声で理斗に謝罪した。
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