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「大丈夫? 理斗くん。でも理斗くんもバカな子だねえ。俺たちは親だよ?」 「まったくだ。見くびらないでもらいたい」  理真が自ら命を絶とうとした夜のことが甦る。家族の誰もが必死だったあのとき、英理は番の理斗を泣かせるようには育てていないと理真に向かって怒鳴り、透は遺していける相手なら番にするなと泣き叫んでいた。あの時点で両親が自分たちを支えようと覚悟していたのだと今になって思い知った。 「……いいの?」  理斗はそう訊くのが精いっぱいで、迷子の子供が親に会えたときのように泣き出した。 「理真と理斗、理央もしあわせになるのが一番だ」 「俺と透さんにとってそれ以外に何があるの?」  その答えにたどり着くまで英理と透はどれほど苦悩したのだろう。きっとケンカにだってなったに違いない。  温かな英理と透の言葉に、いやが上にも理斗の泣き声は激しくなる。そんな理斗を隣に座っていた理真が強い力で抱きしめてわめいた。 「やめてよ! 理斗を泣かせていいのは俺だけなんだから!」 「うわー。親の前で何を言い出すかな、こっちのバカ息子は」 「恥ずかしいところは英理に似たな」  げんなりとした様子で理真を見る英理と、その英理と理真がそっくりだと評する透のやり取りはとても心地よく感じる。スマートフォンをテーブルに置いた理央もかすかに微笑んでいた。 「俺も朔と一緒に理真兄と理斗兄を助けられるように頑張る」  理央のひと言にリビングルームが静まり返る。理真は理斗を抱いたまま硬直し、腕の中にいる理斗も青ざめた。理央に発情期が訪れたことだけは伝えてあったが、大川朔と番になったことはタイミングを見てから話すつもりでいたため、まだ両親は知らないのだ。
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