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「……食べすぎたみたいだから、先に休む」  それだけ言って理斗は逃げるように食堂から自分の部屋へと駆け戻った。これまでと同じようにみっつの鍵をかけようとした理斗の手が止まる。その手は結局鍵をかけることはなく、スマートフォンを取り出して短い文面のメールを送信した。  ベッドに倒れ込んだ理斗は、気を緩めるとすぐにでも下半身へと伸びそうになる手を握りしめ、体を丸めて発情した体に抗い続ける。  どのくらいの時間が経っただろうか。部屋の扉が静かに開く音がして、理斗は顔を上げた。理真はベッドのそばまで来ると両手で理斗の頬を包み込んで柔らかく微笑む。 「顔ぐちゃぐちゃになってる。つらかった?」 「遅い。呼んだのに」 「皆の手前すぐにこっちに来たらまずいでしょ? ごめんね」  啄むようなキスを何度もされている内に、じれったくなった理斗は自分から理真の唇を割って舌を差し入れた。 「ん、んん……っ」 「今夜は鍵がかかってたら、ドアぶち破るつもりだったんだ」  理斗にのしかかりながら物騒なことを言う理真は少々機嫌が悪いようだ。 「前回の発情期に逃げたの、俺は忘れてないからね?」 「クリスマスイブは大川くんが夜中に訪ねて来たからだろう」  アルバイトで生計を立てている朔はクリスマスイブにはシフトが入っていた。だが、理央はどうしてもクリスマスイブを朔と過ごしたかったらしく夜中でもいいからと朔を御厨家に招いたのだ。そのような来客があると解っているのに同じ屋根の下でセックスする気にはなれなかったので理斗は理真から逃げてしまった。その結果、理真は発情期が終わるまで理斗を放置するというとんでもないお仕置きをしたのだ。大ゲンカになったのは言うまでもない。
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