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「どうせ理央ちゃんたちだってエッチしてたに決まってる。なのに理斗は」
「理真、うるさい。早く……苦しい」
両手を理真の背中に回してしがみつき、首筋に顔をうずめて理真の匂いを嗅ぐ理斗は無意識に腰を揺らしていた。
「俺のいろんなとこが爆発しそうなんだけど。急にスイッチ入るの何とかならない?」
理斗の頭を撫でていた理真が鎖骨に吸いつき、くっきりと痕を刻む。肌を滑る手のひらが与える快楽に理斗は体を震わせながら、ひと粒だけ涙をこぼした。
「きっと地獄に落ちる……」
「大丈夫だよ。俺が理斗を守ってあげる」
それは子供の頃から理斗が不安になる度に理真が繰り返しつむいできた言葉だ。
胸に渦巻いていた理真への愛しさが堰を切ったようにあふれ出し、理斗はたまらず理真をかき抱く。
「理真、好きだ。愛している」
一生伝えることはできないと思っていた想いは言葉ではとても表せないほど理斗の内側に積もっていて、もどかしくなった理斗は理真を抱きしめ何度もキスをした。
「愛している。本当なんだ。どうしよう、どうしたら全部伝わる?」
「ちゃんと解ってるって」
感情を持て余して焦る理斗を理真はしっかりと抱き返し、額にそっとくちづける。
「俺も理斗を愛してるよ」
生まれる前から一緒にいて、離れたら生きていけないと知っていた。
だから、俺たちはアルファとオメガに分かれたのだろう。
世界中から非難されても構わない。
この人さえいれば、天国なんていらない。
了
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