なんて夜だ…

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なんて夜だ…

「またフラれた……。一人身にこの寒さはこたえるぜ……」 真冬の夜、一人学校帰りの道をとぼとぼと歩くのは彼女いない歴17年。 そう、この俺倉道大樹(くらみち だいき)。フラれたとは言ったが、厳密にはご飯に誘ったのを断られただけであって、告白してフラレた訳じゃないからな。そこんとこよろしく。 ーガヤガヤー 「ん?騒がしいな」 目を凝らしてみると、そこには1組の若いカップルが何やら騒いでいる。 こんな時間に邪魔くさいやつらだ。 「ここが弁天!?がいる所だっけー!?キャハハハ!!ちっこい祠があるだけじゃーん!!」 女のほうが騒ぎ立てる。そう言えば最近小さな祠が出来たと聞いたことがある。 何を祀っているかは知らないがこんだけ小さな祠だ。すごい神様ってわけじゃないんだろうな。 「マジだわ!!ちいせぇえ!てかここでカップルが通ると別れるって聞いたことあったわ!!マジ俺ら別れさせれるもんなら今すぐやってみてほしいもんだわ」 男が騒ぎ立てる。やかましい。後ろからド突きたい。 バカップルの前を通り過ぎようとした時、しくしくと泣き声が何処からか聞こえてくる。 しくしく…しくしく… 「…ん?」 俺は思わず立ち止まりあたりを見渡す。 この声の高さからして……女の子だな、間違いない。 「「ギャハハはハハハ!!!」」 バカップルの声が煩くて今一何処から聞こえてくるのかよくわからん…! あたりを見渡すと祠の後ろから黒い輪っかが2つ飛び出している。 「……え?」 バカップルに気づかれないようそーっと距離を取りつつ、祠の後ろ側を遠目から見つめてみる。 女性がしゃがんで泣いて……いる……? 「…………あ、目が合った………」 その女性は突然立ち上がり、何を思ったか全速力でこちらに向かい………俺に飛びついてきた
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