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あれから月日は流れ、私は新しい家庭を持ち、そして5歳の息子と3歳の娘の母になった。
そういえば、この子たちはこたつを知らないんだな……
家にも実家にもこたつがない。エアコンとホットカーペットがあれば十分暖がとれ、スペースを取ってしまうこたつはお茶の間の定番から消えつつあるのか、子ども達はまだこたつというものを見たことがなかった。
「……よし」
私は小さい折りたたみテーブルを押入れから出した。そして、休みで寝ていた主人の布団まで運ぶ。
「ごめん、ちょっと手伝って」
「何なにー、テーブル?!」
半ば強引に毛布と掛布団と主人を転がすようによけると、敷布団の真ん中にテーブルを配置した。
「さ、パパ、毛布と掛布団かけるの手伝って!」
「いやいや、何してんのこれ」
いつも思いつきで行動する私に、ぶつぶつ言いながらもしっかり手伝ってくれるのが主人のいいところだ。
最後に衣装ケースのフタをテーブルのかわりに置いた。
「じゃーん! 完成っ」
「あー! 昔やったなー」
ようやく事を理解した主人は懐かしそうに笑った。うん、仕上がりは上々だ。
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