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次の日の朝、昇降口に着いた段階ですぐに心が折れた。
「何これ…………」
靴箱に入っている大量のゴミと紙くず、それを広げると「裏切りもの」や「ブス」や「モブ」といった罵詈の文字が。
「モブ」や「ブス」にはそれほどダメージがなかった。
特に「モブ」は私にとって何よりの誉め言葉だ。
ただ、「裏切りもの」は…………。
犯人を想像して、胸がチクリと痛む。
「何これ、ひどい!」
結衣が慌てて中のゴミを片付け始めてくれ、私もとりあえず持っていたマイゴミ袋を取り出した。
……しかし、どこか腑に落ちない。
私が恨まれるのは自業自得として、恨まれている相手も想像できる。
だけど、飛鳥ちゃんはそんなことをするような人だっただろうか……?
いつも真っ直ぐで、正々堂々としていて。
とてもじゃないけど、こんな陰湿なことをするように思えない。
「気にしない方がいいよ、じゅんちゃん」
結衣の方が心配そうな顔をしてくれるので、私は苦笑いをしながら頷いた。
……結衣を巻き込まないようにしないと。
ゴミ箱に捨てると、私達は教室へ急いだ。
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