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本棚に追加「おい、このチケット期限切れてんじゃねーか」
結衣に背中を押されてしぶしぶ廊下へ出ると、岡島は案の定くだらない案件を口にした。
昨日渡した学食チケットを手に怒りを露にする岡島。
全くもってときめかない。
「……ああ、ごめん。じゃあ今度新しいの渡すよ」
「今日これ使おうと思ってたから財布持ってねーのよ。今日奢って。昼、食堂集合な」
「ええー」
____「ねえ!!」
「え?」
突然何者かに強く腕を掴まれたと思うと、廊下中に女子達の絶叫が響いた。
私の腕を掴んでいるのは、他でもなく、あの主人公男子だ。
「朝の人だ!」
改めて至近距離で見るとそのイケメンぶりに絶句してしまう。
それにどことなく爽やかな良い匂いが漂って……
これがいわゆる主人公臭というものか。
あまりのオーラに圧倒されて黙っていると、周囲が私達を見てざわついていることに気がついた。
またもや脇役らしからぬ事態だ!
「名前なんていうの?」
まだ名前を聞いてくるし。
なんなの、一体。名前聞いてどうなるっていうんだ。
ノートに書いて呪いでもかける気か。
「ねえ……」
懇願するような潤んだ瞳で見つめられて、本当に呪いにかけられたように頭が真っ白になる。
触れられている腕は焼けるように熱く、鳥肌と冷や汗が止まらない。
「藤田だよ。藤田純子」
岡島が思い切り空気をぶったぎり、私の名前を彼に教えた。
「藤田……純子……」
彼は考え事をしているかのように暫く黙りこんだ。
「……離して下さい」
なんとか精一杯そう伝えると、腕を強くひいた。
それでも彼は掴んでいる手を離さない。
「フジジュン……」
「え!?」
まさか、おじいちゃんの孫だってバレてたんだろうか。だから名前を……?
「いや、フジコちゃん」
「は?」
「フジコちゃんにしよう!」
彼は満面の笑みで今度は私の手を握った。
「俺のことは彰人でいいから!よろしく、フジコちゃん!」
「は……?」
わかった。
「クラス隣だし、仲良くしような!」
____この人、変な人なんだ。

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