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「俺だって心苦しい。本命には自分から誘えないのに、俺がイケメンなばっかりに、女性を吸い寄せてしまう。本当に、――本当に俺は罪深いよ!」
テーブルを両手で叩くと、悔しくて歯を食いしばる。
ほんとうに悔しい。先先々代が、イケメンだったばっかりに。
孫孫孫の俺が、こんなに苦しんでいるなんて。
「だから、君が好きだからデートしたわけではなく、俺は女性から誘われたら絶対に断っては――」
言い終わらないうちに、彼女の右手から繰り出されるストレートに頬が潰れた。
「最低。本命じゃない女に気を持たせてんじゃねえよ」
「待って、それには先先々代の呪いが」
「知らねえよ。あと、いっつもいっつも胸ばっか見てんなよ。童貞かよ」
「童貞だよ!!!!!!!」
唾を飛ばす勢いで言い返したら、全力で挽いた彼女は喫茶店から出て行った。
彼女を追うことは許されなかった。走り去る瞬間、豊満な胸がたぷたぷと揺れているのを凝視しても、俺は引き留めたらいけないんだ。
「……これで最後か」
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