いずれは赤く実るのだけれど

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私達、まだ食べられないようなのだ 育っている最中という名目で ただ待っている、待っている、待っている 花が咲いたら枯れていくだろう 知っていてなお、時の流れに任せて 私達、止められないようなのだ 予想するだに文字数と戦うのかもしれなかった タイムリミットまでに2万字書けるのかと疑問に思いつつ 始めてしまったのはなぜだろう やりたいことは山ほどあるのだけれど 青春の話題が出た翌日 テーマにしたくなった 満天の星空を見た友達が「このまま時が止まればいいのに」と真剣になったので 私達は大きく笑った その感動を連れて 今、過去を呼び起こす 香りがする 芽吹くように 今だって十分に青い私は ただ待っている、待っている、待っている 毎朝走って鍛えながら 出番をくれと願って積み重ねる言葉を 評価してもらうためも半分 記録も半分つけていく 輝きたい どうしてそう思うの? 私は私であって それで十分だったはずなのに どこまで求めていくのかな 読み返して、甘ったるさにも少し青春を感じる あの人の背中はコーラの匂いがしたって どこかからフレーズが浮かぶ 思い出して 虚構ともリアルとも判別つかない 記憶の石の上を飛んでいく 裸足で感じる熱さで熟したい とっくの昔に茎が伸びてしまった 花は咲いて 今 31回目の冬だったか 春を待って 札幌の1月、雨が降っていて ずいぶん暖かいようだよ キンと痛い寒さもなく 過ごしやすいと感じる 雪まつりは大変だろうな 立ち並ぶ像たちはドロドロと形をなくし みな同じように芯材を見せて 表層ってとても大切ですよ 私はみんな振動で出来ているという真理も好きだが どうしようもない分離も同じように嬉しい ひとつになれない 孤独を悲しんでいたころも それはそれで、所謂青春の謳歌だったと 言ってしまえる自己になって ゆったりと待っている 花は咲き誇って 実になって種になる 枯れた時の渋い茶色が今は安心できるファッションカラーだし 心の中にはいつも優しい風に揺れている子どもがいて 安心しているようだった 焦燥はどこからやってくるかな? すごい人になりたかった頃
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