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「あれはこういうことなの? 志岐君」
「そうかもしれません」
「誰かを好きにおなりなさいということなのね?」
「はい?」
思わず志岐先輩とハモってしまった。
「そうすれば完璧な絵が描けるのね?」
「え? う、梅田部長!?」
「まぁ、あながち間違いではありませんけど」
狼狽える私に対し、志岐先輩は涼しい顔でそんなことを言ってる! というか笑ってる!
「なら、早く誰かを──」
「ですが、誰かに恋愛感情を持つ、というのは偶然と軌跡の産物です」
「そんなの困るわ。すぐにでもそれを手に入れたいのに」
「……」
何か違う。激しく違う。
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