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「いいこと? このことは誰にも悟られては駄目。後からそっと合流するから」
そして部長は小声でそう言うと、まるで忍者にでもなったのか、あたりをキョロキョロ見回しながら静かに尚かつ素早く美術室を出て行った。
「あ、あの……」
恐る恐る隣に立つ志岐先輩を見上げると、彼はその辺の石膏像なんかより遥かに素晴らしい笑みを浮かべた。
「うん、ごめんね?」
「……ど、どういう?」
「あのね、昨日の諦めてもらおうと思って『うちは部活の掛け持ちは禁止ですし、バレたら美術部の部長、クビになりますよ?』って言ったんだよね。そうしたらあんなことになっちゃって」
「……」
あんなこと、っていうのは忍者に変身ってことですか?
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