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本番
2月14日がやってきました。真っ先に登校して、好きな男子の下足箱にプレゼントを置く者や直接本人に手渡しする者があちこちで見られます。相手が決まっているカップルはともかく、決まってない者は争奪戦を朝から繰り広げています。
貰ったプレゼントの数を競う男子に格差が現れ始めました。貰った者はニンマリとし、一個も貰えない者はしょんぼりした顔をしています。この勝負は放課後に白熱化しだします。
今までは、自分の教室内か隣の教室で留まっていました。部活の先輩を狙う者が、プレゼントをあげるタイミングを見計らっています。帰宅部は、そういう子からは相手にされません。特に、野球部のピッチャーとか、バレー部のエースアタッカー、吹奏楽部のトランペット奏者などに注目が集まります。そういう者は、有権者に握手する立候補者みたいな感覚でやって来る女子に接します。そしてスポーツバッグいっぱいにプレゼントを貰い、何知らぬふりをして帰宅するのです。貰った者も貰わなかった者も下校したら晩ごはんを食べて明日の準備して寝るのでした。
次の日が来ました。この日は、バレンタインデーに貰ったプレゼント数の開票日と言ってもいいです。女子たちは、自分があげた男子のことで頭がいっぱいです。男子たちは、自分にプレゼントをした女の子の自慢を他の男子にします。貰えなかった男子は、貰えた男子を知らんぷりしたり不貞腐れたりしています。
側から見たら、くだらない自慢話ですが、当人たちは真剣です。その子が伴侶としてその後の人生を共にする保証はどこにもありません。
生存競争を巧みに利用した製菓業界も消費者も盛り上がったバレンタインデーは、次のホワイトデーに持ち越しとなるのでした。
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