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「あんたが踏んだのは死んだ子の胎盤を埋めた場所で、そこを荒らされた事で庭に留められていた死んだ子の想いが、解放されて憑いて来てしまった。その子はあんたを気に入って、あんたの周囲のモノから生命を吸い取って成長している。今では中学生くらいの大きさになって、あんたを連れて行こうとしている」
驚く大城家の人々に続けて
「今は一時的に引き離しただけ。またすぐに戻ってくる。霊から隠す事はできるが、それは2年間が限度。次は今度こそ連れて行かれる。今後の事を決めて、出来るだけ早くこの土地から出て行きなさい」
と告げた。
以上の事情から中学卒業と同時に沖縄を離れ、関東に住んでいた親戚の伯父を頼って身を寄せる事になった。
そのまま実家に戻ること無く、大学に進み今に至るらしい。
「でも今度、実家に戻るんだ。親父が死んだんだよ。葬式くらい顔を出さないとな」
そう言った大城の顔は青ざめていた。
彼が無事に戻ってくることを祈るばかりである。
了
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