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艶書
例えば常識ある成人男性が晴れ晴れとした冬の昼下がり。
古い日本家屋の縁側で持っていてはならぬものがあるとすれば、そう拳銃とか刃物とか熊の縫い包みとか後、大人の玩具とか?
色々あるかも知れないが、今目の前にある光景はそれよりもっと衝撃的な気がした。
何でお前がそんな物を持っているんだ――――?
真柴一至は、その縁側に転ぶ秋月縁の同級生兼仕事のパートナーでもある。
「縁、起きろ」
「……んんっ? イチ……?」
「お前、縁側で昼寝とは良い御身分だな、原稿上がったのか?」
「詰まって庭に出たら良い天気で……寝ちゃった……」
縁は手に持っていたそれを隠す様に、懐に入れる。
見た目はそこいらの芸能人より美麗な癖に、人嫌いな上ズボラな縁は自称社会不適応者で、高校を卒業した後は祖父母が暮らしていたこの古い平屋に籠り、生活の為に小説を書いている。
「詰まったって事は、まだ出来てねぇんだな……」
「あははははは……」
「あははぢゃねぇよ! デッドラインは今日の十八時だっつった筈だぞ!?」
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