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あれだけ淫らな場景を紙面上に書いておきながら縁は童貞で、よくもまぁ想像だけであれだけ淫靡な文章が書けるものだと一至は呆れる。
「なぁ……何でお前、官能なんだよ? 普通に恋愛小説とか書きゃいいだろうが」
「……恋愛小説とか、もっと難しいじゃない」
一至はその基準が良く分からなくて、首を傾げる。
珈琲を淹れてやり、使いこまれた文机の端に置いて少し離れた所に胡坐をかいた。
知り合って十年以上経つが、縁が誰かを好きだと言う気配を感じた事は一度もない。
中学から一緒になって、喋る様になったのは二年の図書委員からだった。
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