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子供
親戚のおじさんが死んじゃったんだって。
パパとママの仕事のカンケイとかで、お通夜に行けなかったから、お葬式に行くんだってさ。
おじさんって言ったって、会ったこともないし。
そんな人のために、なんでボクまで出かけなくちゃいけないのさ?
ヨシ君と遊ぶ約束してたのにさ…。
こんな日にお葬式なんて、サイアクだよ。
お葬式って、やる事なくて、つまんねーの。
「大人しく、静かにしてなさい」ってママ。
「チョロチョロするんじゃない」ってパパ。
じゃあ、なんで連れてきたんだよ?
家にいた方が、楽しかったのに。
「さあ、クルマに乗ってちょうだい。これから、火葬場に行かなくちゃいけないんだから」
まだあるわけ?
いつになったら、終わるのさ?
ボクはふくれっ面で、クルマに乗り込んだ。
あ~あ、ゲーム持ってきてよかった。
少しはヒマつぶしになるからね。
「火葬場」ってトコまでは、ずい分かかったよ。
やっと着いた。
「なんで、こんな遠くにあるの? もっと近くに作ればいいのに」
ふてくされてパパに聞くと、めんどくさそうに
「あんまり人が多く住んでる場所に作ると、イヤがる人がいるからさ」
って答えてくれた。
「どうして、イヤがるのさ?」「死んだ人が運ばれてくる所だからよ」
今度はママが答えてくれた。
「ふぅん。でも、死んじゃったら、みんなココに来るんでしょ? イヤがってる人もさ。そんなの、ヘンじゃない?」
ヒマだったしさ。ほかにダレも話しかけてくれないんだもん。
質問するくらい、イイじゃん。
なのに、ママがコワイ顔をしてボクに言った。
「少し、静かにしてちょうだい。パパもママも、疲れてるのよ。いちいち、あなたの話に付き合ってられないわ!」
ちぇっ!
つまんねーの!
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