かくれんぼ

2/11
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
子供 親戚のおじさんが死んじゃったんだって。 パパとママの仕事のカンケイとかで、お通夜に行けなかったから、お葬式に行くんだってさ。 おじさんって言ったって、会ったこともないし。 そんな人のために、なんでボクまで出かけなくちゃいけないのさ? ヨシ君と遊ぶ約束してたのにさ…。 こんな日にお葬式なんて、サイアクだよ。 お葬式って、やる事なくて、つまんねーの。 「大人しく、静かにしてなさい」ってママ。 「チョロチョロするんじゃない」ってパパ。 じゃあ、なんで連れてきたんだよ? 家にいた方が、楽しかったのに。 「さあ、クルマに乗ってちょうだい。これから、火葬場に行かなくちゃいけないんだから」 まだあるわけ? いつになったら、終わるのさ? ボクはふくれっ面で、クルマに乗り込んだ。 あ~あ、ゲーム持ってきてよかった。 少しはヒマつぶしになるからね。 「火葬場」ってトコまでは、ずい分かかったよ。 やっと着いた。 「なんで、こんな遠くにあるの? もっと近くに作ればいいのに」 ふてくされてパパに聞くと、めんどくさそうに 「あんまり人が多く住んでる場所に作ると、イヤがる人がいるからさ」 って答えてくれた。 「どうして、イヤがるのさ?」「死んだ人が運ばれてくる所だからよ」 今度はママが答えてくれた。 「ふぅん。でも、死んじゃったら、みんなココに来るんでしょ? イヤがってる人もさ。そんなの、ヘンじゃない?」 ヒマだったしさ。ほかにダレも話しかけてくれないんだもん。 質問するくらい、イイじゃん。 なのに、ママがコワイ顔をしてボクに言った。 「少し、静かにしてちょうだい。パパもママも、疲れてるのよ。いちいち、あなたの話に付き合ってられないわ!」 ちぇっ! つまんねーの!
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!