かくれんぼ

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なんだろう。 箱が動いたような気がした。 「ボクはさ、すぐに帰って来てくれると思ったんだ。ボクの事を置いて、ママがどこかに行っちゃうことなんてないと、そう思ってたんだ」 気のせいじゃない。 この箱、動いている! 「ねえ、恭一君! ヤバイよ、この箱。早く出ようよ!」 ボクはあせって、箱のフタを開けようとした。 その手を、恭一君の冷たい手が押さえる。 「ダメだよ、開けたりしちゃ。みんなに見つかっちゃうじゃないか」 おかしい、恭一君、おかしいよ! 「出なくちゃ! この箱、どこかに運ばれちゃうよ。恭一君!」 恭一君の手をふりはらって、箱のフタを開けようとボクは必死になった。 「ダメだったら。どこへ行くのさ? ボク達、友だちだろ?」 「ねえ、恭一君。『かくれんぼ』は、もう終りにしようよ」
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