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「パパ! ママ! ボクはここだよ! 分かってよ、パパぁ! ママぁ!」
「むだだよ、聞こえやしないって。ボクが苦しんだ時だって、ダレも助けてくれなかったんだ。一人で死んでいくのはイヤだなって思ってたけど、君が一緒に逝ってくれるから、もうさびしくないや。だって、ボク達、『友だち』だろ?」
「パパぁ!! ママぁ!! 見つけてよぉ! ここだよぉ!」
にぎりこぶしで、皮がこすれて血が出るまでフタをたたいたけど、全然開かないんだ。
どうしよう、どうしよう!?
箱のまわりで、ボッ!という音がした。
すぐにヘンなニオイがしてくる。
ケムリが箱の中に流れこんでくる。
「イヤだよぉ! まだボク、生きているんだよぉ! パパぁ! ママぁ! ちゃんと言うこと聞くからさぁ! もう、パパとママの言いつけを破ったりしないよぉ! だから、助けてぇぇぇぇぇ!!」
フタをたたき続けるボクの体に、恭一君が──恭一君だったモノがからみついてくる。
「むりだってば。さっき、君も聞いただろ? 大人達はボク達子供の事なんて、どうでもいいのさ。自分達の都合が一番大事なんだから。ボクはうれしいんだ。君みたいにステキな『友だち』ができて」
「ゴホッ…ゲホッゲホッ…く、苦しい…熱いよ…」
木で出来た箱が、茶色く変色し始めている。
熱いよ、熱いよ……。
「うれしいな。ボクの『友だち』だよ。ずーっと一緒だからね」
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