戦場のバレンタイン

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「ローマのくそったれめ! どれだけ張り切ってやがるんだ!!」 塹壕の影へと身を隠し、周りを見渡す。 先ほどまで一緒に戦っていた戦友は既に屍になっていた。今朝まで、同じ釜の飯を食って笑いあっていた彼らも敵の凶弾の餌食になった。 「隊長! ここは撤退しましょう! これ以上は味方が持ちません!!」  部下の一人が進言をする。その表情は悔しさでいっぱいといった様子で唇を噛んでいる。彼にとっても、辛い判断だったのだろう。  戦争はなくらない。人に欲がある限り、競争心がある限り。  そんな戦争に革命が起きた。 「仕方ないか……。ここは放棄する! 撤退を部隊の連中に伝えろ」 「了解しました! 隊長はどうされますか?」 「俺は、ここに残って時間を稼ぐ。……ありったけの弾丸を持ってこい!!」  力に支配されていた時代はもうすでに過去の話。今、世界を支配しているのは”愛”だ。
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