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「…いや、待て、今何て言った?」
「神様の暇潰しデスゲームだ!二度も言わせるな愚民め!」
ぷんぷんと怒る狐。
「神様の暇潰しデスゲーム?」
「そうだ。分かりやすいだろう?」
凄い夢を見てるな俺…最近見たサイコホラー映画のせいか。
「ではまず、貴様の学年と名を名乗れ」
「え…。夜船(よふね)高校3年2組、赤崎秋」
「よし赤崎、ボクの名は白狐だ。ぬいぐるみでは無いぞ、ボクの事は白狐様と呼べ」
「…びゃっこ様」
「うむ。今からボクがゲームのルールを説明する。いいか、一度しか言わぬぞ」
「あぁ…分かった」
とりあえず黙って聞いておこう。
「デスゲームを行う舞台は貴様の通う夜船高校だ。だが現実世界の、ではないぞ。ボクが造り出した異空間に存在する夜船高校だ」
そこで狐は、小さな片足でくるりと一回転してみせた。
「その異空間に存在する高校には、人間を喰らう怪物がうじゃうじゃと生息している。ほとんどが雑魚ばかりだが、その中に強力な能力を持つ怪物が存在している。その怪物を『ナンバー』と呼べ。
『ナンバー』は全部で10体だ。『No.10』から『No.1』の『ナンバー』を、ゲームの参加者が撲滅すればクリアとなる。
だが、『ナンバー』の戦闘能力は『No.1』に近づくにつれて強力になっていくからな、一筋縄ではいかなくなるぞ」
俺は顎に指先を寄せて眉をひそめる。
夢だから真剣にゲームのルールを聞く必要はないと思うが、一応頭に入れておく。
「もちろん、ゲームの参加者は貴様だけではない。同学年の仲間と協力して全『ナンバー』を倒すのだ。だがもちろん『ナンバー』側も貴様たち人間を襲いにかかってくる。しかし異空間で殺されても貴様たちは本当に死ぬわけではない。現実世界では生きているから心配はいらぬぞ」
「え?死なないデスゲームなのか?」
ほら、デスゲームといえば良くあるのが、見知らぬ人間同士が閉じ込められて仲間内で殺し合いをして、最後の一人が生き残れるとか…。仲間の命を犠牲にしながら敵を倒していくとか…。
けれどこの『神様の暇潰しデスゲーム』は本当に命を奪われる訳じゃないのか。
…まぁ夢だから当たり前か。
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