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「作戦って何だよ。ただ俺はお前の名前を知りたいだけだって。ホラ、友達とかになりたいしさ」
「…おかしな奴だな」
「いやお前だろ!お前がおかしいだろ!」
しまった、思わずツッコミを入れてしまった…。
男子生徒は無表情のままだ。俺は顔をしかめて頭を掻く。
「まぁいいや…俺の名前は赤崎秋(あかさき しゅう)。秋でいいぞ、まぁこれから宜しく頼む」
「俺は……吉野だ」
「吉野な。で、下の名前は?」
「分からない」
「は?」
「俺は俺という存在の記憶をずっと思い出せない。ただ一つだけ、吉野と呼ばれていたような気がする」
…意味が分からない。
「今度は俺から質問だ。お前は『ナンバー撲滅隊』というチームの、新しいメンバーなのか?」
「はあ?撲滅隊って……ったく、お前まじ何なんだよ。あれか、厨二病なのか。悪いけどそういうのには付き合えない。俺は先に帰る、じゃあな」
俺は教室に吉野を置いて歩き去る。
教室のドアを開けた時、後ろから吉野の「待て」という小さな声が聞こえた。
「動くな」
続いたその言葉に、俺の足が止まる。
やれやれ面倒臭いなぁと、思いながら振り返った。
俺に向かって真っ直ぐ、銃が向けられていた。
「……は?」
俺はぽかんとした。
相変わらず無表情な吉野が、銃口を俺に向けたまま言う。
「もう一度聞く。お前は『ナンバー撲滅隊』のメンバーか?」
「っ、いや…だから知らないって。てかその銃どこから…」
そこで俺はハッとした。さっきまで見ていた夢を思い出したからだ。頭を抱える。
ナンバー…撲滅…デスゲーム…ぁああ待て、待て待て待て!まさか俺、まだ夢から目覚めていない状況なのか!?
「違うのか?」
「し、知らない!つかこれは夢だろ?夢だからつまり~、あ~、とにかく俺は早く目覚めなきゃならないんだよ!」
「なるほど…お前はこのゲームの初心者で、まだ頭の理解が追いついていない状態なんだな」
吉野がぼそりと呟いた。
俺はとりあえずうんうんと頷いた。
でも吉野は銃をおろしてくれない。
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