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「始めまして、2年の北条まどかです」
彼女が丁寧に頭を下げた。
彼女は私を覚えていない、獅朗の病室で一度会っていることを。
「同じ学校だったんですね」
私は彼女を覚えている。
彼女はあの日獅朗の病室にいた獅朗の婚約者。
「え?何処かでお逢いしましたか?」
「前に一度……獅朗の病室で」
「す、すみません。あの時は気が動転していたので」
「いいえ」
動転していたのは私も同じ。
怪我をして眠っている獅朗の姿に。
その脇で泣いている婚約者と言う彼女の姿に。
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