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1話:嫌われ者
キーン…コーン…カーン…コーン…。
朝。中学校では始業のチャイムが鳴っており、その音が鳴ってから慌てて走ってくる「遅刻少女」なんてのは居なくて、教室で窓の外を見つめてぼーっとしている1人の少女がいた。
その少女は、休み時間中誰とも話さず、ただじっと窓の外を見つめていた。
あまり周りと関わろうとしないため、いい意味ではみられていなかった。
授業が始まっても、その態度は相変わらずだった。
「それじゃあ誰か、この箇所を読んでくれないか」
先生が問いかけるも、誰も挙手しようとはしない。
「じゃあ相川、お前読んでくれ」
「え、私ですか」
うっかり挑発的な態度をとってしまい、クラス内の人らはひそひそ話を始めてしまった。
しかもこの先生はこれに気がつかないものだから本当に嫌になる。
こんなことは早く終わらせてまた物思いに更けろう。そう思った少女はさっと立ち上がり、すらすらと指定されたページを読み終えると、即座に座った。
そしてまた、顔を窓の外に向けたのであった。
ここまで生徒を野放しにしておく先生などここにしかいないのではなかろうか。
その後の授業と休み時間はなんとか順調に過ぎ、いよいよ放課後が来ようとしていた。
そんな時だった。
「ね、相川さん」
不意に声をかけられた。
「掃除当番かわってくんなぁい?私きょう忙しいからさぁ」
「……いいよ」
小さくため息をつき、少女は答える。
また、いつものパターン。
いいように使われている……そう分かっていても嫌といえないのが、少女の悪い所であった。
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