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俺が住んでいるところは
山の中腹にある小さな村。
街に行くには車で1時間半
走らなくてはならない。
待ちに待った夏休み。
中学生になって初めての夏休みだ。
小学生の頃と違うことは
宿題の量くらいかな。
早めに終わらせなくちゃと
思っているのに
なぜだろう…
いつも最後の日まで
溜め込んでしまうんだ―――
ちりん…
ちり…ん…
「純玲ー」
「…」
「スミレ!」
「・・・ん…」
空に浮かぶ大きなにゅうどう雲を眺めてたら風が気持ち良くて、風鈴の音が心地良くて気付くと、いつの間にか眠ってしまっていた。
「あら、やだ寝てたの? 夏休みだからってだらけてちゃだめよ。」
「ん―」
「ねぇ、見てこよのスイカおっきいでしょう。
おばぁちゃんが送ってきてくれたのよ。
二つも頂いたから、ケンジくんのお家に
一つあげようと思ってね。」
「・・・」
「スミレ届けてきてくれない?
自転車のパンク、もう
お父さんが直してくれたでしょ。」
「うん。」
ガタン…
「重たいからね、落とすんじゃないよ。」
「ああ。いってきます。」
シャ―――
家の前の下り坂を勢いよく駆け降りる。
俺の自転車はボロだからブレーキがききにくくて。
上手く運転しないと転んでしまう。
ケンジの家は、あの角を右に。
大きな桜の木がある家…―。
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