王の花嫁

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私ももうジャックさんとはそういうことはしないのだと王様にわかっていただけるように。 できるなら浮気なんてしたくない。 王様の手のひらは優しく私の頬を撫でてくださる。 私は王様を見つめて、王様も私を見つめてくださる。 「君が僕の子供を生めばいい。君もその子供も守れるようにがんばるから」 とくんっと胸の鼓動が私の中で響く。 愛してと自分から言ったけれど、なにが愛となるのかわからないところもある。 だけど、その王様のお気持ちは愛なのだと思う。 恋ではないかもしれない。 愛ではあると思う。 私の愛はどういう形で王様に見ていただけるのか。 王様に抱きついていくと、王様は優しく私を抱き止めてくださる。 すりすりと王様の胸に頬を寄せて、そのお体をぎゅうっと抱きしめて満たされる。 「アニエス…」 王様は私の体をベッドへと倒されて、その唇が頭から頬、唇へとふれた。 「ぁ……」 小さく唇の隙間から声をこぼして、目を閉じて、その王様の唇を受け止める。 ガウンが脱がされて、私も王様のガウンを剥ぐように脱がせる。 王様の吐息がすごく好き。 私の体にふれるその手がすごく好き。 薄く目をあけて王様に手をのばすと、王様は私の体の上を滑るように下へと向かっていらした体を私の手の届くところへと戻してくださる。 その背中を抱くと唇にまたキスをくれる。 こわくて泣いたあの夜のキスは覚えている。 これもお勤めの1つなのかもしれない。 私に対するそのすべては王様だから、やらなきゃいけないことだから、というものかもしれない。 それでも。 一生、あなたについていきたい。 「足を絡めて腰を擦り寄せて。いやらしいね、アニエス。もっと欲しがるまで焦らしちゃおうか」 「意地悪…」 ぶぅと頬を膨らませて王様を見ると、王様は笑われる。 その笑顔が大好き。 「僕の上に乗って?君がしたいようにしていいよ」 王様は私の体を上に乗せるように転がられて、私は上から王様のお顔を見る。 その頬を両手で包んで、いっぱいキスをさせていただいた。 王様が欲しがってくださるまで、キスだけでもいいかもしれない。 欲しがってくださるようにがんばる。 そしていつか、王様によく似た金髪の子供を授けていただく。 立派な王子様になるようにがんばる。 Fin 2018.10.16
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