1人が本棚に入れています
本棚に追加
その頃理亜は、苦戦を強いられていた。
相手の副幹部が、彼女特有の術『肉体強化』を発動していて、銃弾で充分なダメージを与えられない。
(肉体強化は完璧じゃない。どこかに弱いところがある。集中して見るのよ…。)
全神経を研ぎ澄まして、相手の攻撃を避けながら、動きに集中する。
(右足の出方が、少し遅い!)
もちろんそれは、理亜並の動体視力がないと分からない程度だった。
理亜は、早速反撃に出た。
(残りの銃弾の数的に、1発も外せないわね。)
理亜は、連続で、撃ち始めた。
狙いは、最初にぶち抜いた右足の膝下。ほぼピンポイントで、だ。普通なら相手の攻撃を避けながらそこまで正確になんて、不可能だろう。
だが、彼女は、それをやって見せた。1発も外さず。
ついに肉体強化が解除された。肉体強化は、1箇所が解除されると、ほかの場所全てが解除される。
「そ、そんな...。破られるなんて...。」
すかさず理亜がとどめを刺す。
法術『電撃弾』。電流を帯びさせた砂鉄を光速で発射する。理亜並の射撃の正確さがあってはじめてその術の本当の力が発揮されるのだ。
副幹部は反撃のスキもなく、電気を帯びて気絶した。
海斗は、まだ弱い下っ端の青鬼の相手をしていた。自分のところに弱い鬼を大量に送ってくるのは分かっていたが、ここまで数がいたのは予想外だった。
「美夜は、大丈夫かな...。」
美夜が妖怪相手に法術を発動するのは初めてだ。練習通りに出来ているだろうか…。
実際、美夜の法術は練習通りだったのだが、美夜の相手が、海斗の予想以上の実力だった。
「ハァハァハァハァ......。」
「おっと、もうそんなんなのか?」
ボス鬼の圧倒的な強さに、私は手も足も出ない。
法術を使っても跳ね返されるし、そろそろ体力的にもやばくなってきた。
(考えろ…。考えないと、脳筋では勝てない...。)
最初のコメントを投稿しよう!