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ザブザブと歩みの遅い水の中を怒りに燃えながら突き進んでいると不意に背中から肩先を何かが掠めた。
振り向きざま視界の端からウサギのように飛び跳ねた白いビート板。
「あっ…ごほっ…あっ…あぷっ」
「おーっとっと。
…大丈夫か?」
小学生くらいだろうか、
小さな女の子だった。
ビート板で顔を水につける練習でもしていて俺の存在に気付かなかったのか、
俺の背中に当たった衝撃で手を離してしまったのだろう。
必死にしがみついてくる女の子を抱きかかえ、
咳き込む背中を叩いてやる。
「ご…めんな…さっ…ゴホッ」
「うん。
お兄さんは大丈夫だから。
今度からはちゃんと前を見るんだぞ?」
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