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「あぁっ」
「そんな大きな声出したら…ホントに誰か来ちゃうカモよ?」
「貴弘…お前…ココで?」
する気なのかと見開いた目が聞いている。
ビターチョコのような濃い虹彩。
染めたわけでもないのに艶やかなアッシュブラウンの髪は、
まだ雫をこぼし首筋にはりついている。
意志の強そうな眼差しと眉、
スッと通った鼻筋にいくぶん下側が厚めの唇は先程のキスで艶めかしく濡れていた。
(ホント…いつ見ても美人。
このひと)
ここは都内某区営プールの更衣室。
更衣室と言っても個室など無く、
コイン式のロッカーが立ち並んでいるだけの大きな一室だ。
しかも目隠しのついたてが立っているだけで受け付け兼入り口との間にはドアさえ無い。
一番奥のロッカー裏で目立たないとは言え、
いつ誰が来てもおかしくない状況だった。
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