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初めはモデルを頼まれたことに戸惑っていたが、
芸術系に疎い俺でも長谷川さんの才能は見て取れた。
緻密でありながら生命の息吹を感じさせる彼の作品。
俺の完璧なコピーを作って見せた彼がどれだけ俺の体に惚れ込み、
執着してるか。
そう…それは昨夜のベッドでも十二分にわからせられたコトだ。
(なかなか離してくれなかったもんな…ゆうべ)
彼の姿態がまだ瞼に残っている。
小柄ながら柔らかい筋肉に覆われた体、
まるで猫科の肉食獣のような。
幼い頃を台湾で過ごした彼は本場の中国拳法を学び、
その中でも太極拳だけは今でも毎日続けている。
既に師範の腕前なんだそうだが、
自ら選んだ芸術の道を全うしたいからと、
今は趣味に留めていた。
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