第2章 外の世界へ

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「これを見て大体、死告鳥の企みを把握しました。あなたのかつての恋人がこの銃を使った動機が分かりますか?」 「いえ・・・・・・」  少しだけ考えてみたが、エリスは理解できなかった。エドワードはヒントの入った二言目を続けた。 「『アガディール事件』をご存知ですか?」 「ええ、ジリアンが演説で言ってました。確か、ドイツ政府がモロッコ南西の港湾都市アガディールに軍艦を派遣したことによって生じた国際紛争ですよね?」 「その通りです。この事件がきっかけで独仏関係は強い敵対状態になり、両国の全面衝突は避けられないかとも言われるまでに至りました。そして、今回のジリアン暗殺未遂事件、親仏派の革命家が敵国であるドイツの銃で撃たれた。これがどいう事か・・・・・・」 「・・・・・・そう言う事だったのね!」  エリスは答えがその意味に気づいたのか話の途中でその先を言った。 「死告鳥はフランスとドイツの関係を悪化させて両国を戦争へと発展させるつもりなのよ!」  エドワードは"おしい"と残念そうに返し、答えを打ち明けた。 「ジリアンはフランスだけじゃなくイギリスやニューオルレアンからも支持されている革命家です。それだけの国が戦争を始めれば当然、他のヨーロッパ諸国も黙っていないでしょう。下手をすれば、全世界が戦火に包まれます」 「それってつまり・・・・・・世界大戦?」  エリスは最悪な結末を口にし、言葉を失う。アルテュールの言った内容はたちの悪い脅しではないとようやく実感する。改めて、自分が関わっている問題がとんでもなく、計り知れないものだと思い知らされた。
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