第2章 外の世界へ

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 晴れる気配のなかったさっきまでの雨は見事に止んでいた。空はまだ灰色に曇っているも、滴は1滴たりとも落ちてこない。さっきまで無人だった街に人間の姿が現れ、外での生活を再開している。  人の数が増えるばかりの街中をしばらく歩き続け、ようやく裏路地の前まで辿り着く。巡回していた兵士もいたが、エドワードが隣にいたお陰か、特に怪しまれなかった。そのまま、目的地に続く近道へと足を踏み入れる。 「・・・・・・ありがとう、エドワードさん。何とかバレずにここまで来れたわね」 「よく頑張りましたね。それでこそ騎士団の一員です」  エドワードは自分の娘を褒めるような口調で優しく微笑んだ。  裏路地に入ってから結構な時間が経過した。まだ出口は見える兆しない。いくら近道とはいえ、隣町まで徒歩で向かえば、それなりの時間は掛かるものだ。 「・・・・・・ねえ。聞きたい事があるんだけど?」  あれからずっと、黙っていたエリスが半時ぶりに口を開いた。 「そろそろ、退屈になってきた頃合いですか?質問なら遠慮なくどうぞ」 「アビーさんについて教えてくれない?」 「アビー様がどうかなさったのですか?」  エリスは"何となく"とだけ理由を述べて 「あの人が南北戦争の英雄なのは、さっき探偵事務所で聞いたけど、あの人はいつ、ルーヴェルの騎士になったの?」  エドワードは短くなった煙草を落とし、踏みにじると"やはり気になりますか?"と退屈しのぎの要求に応える。
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