第2章 外の世界へ

13/34
前へ
/56ページ
次へ
「裏路地が死に場所なんて運の悪い奴らだ。まあ、愚かな騎士団にはお似合いだがな」 「葬儀はネズミがしてくれるはずだ。安心してあの世に行くがいい」  こちらは2人、相手は大人数。優勢と劣勢の差は大きく絶体絶命の状況だった。例え、背後へ逃げたとしてもすぐに挟み撃ちにされてしまうだろう。ゆっくりと作戦を考えている時間もない。  暗殺者達はじりじりと間合いを詰めてくる。エリスとエドワードは気を緩めず、相手を出方を窺う。 「きゃっ・・・・・・!」  しかし、エリスが濡れた地面に震えた足を滑らせ、体のバランスを崩した。 その隙を奴らは見逃さなかった。 「死ね」  おもむろな一言、前方にいた3人が飛び掛かる。  エドワードは引き金を引き、1発撃って、敵の1人に命中させた。44口径の弾丸が甲冑を貫通し、体内を抉って突き進む。胸部と背中にクルミくらいの大穴を開け、喰らった暗殺者は空中で絶命し情けなく地面に落下する。 「きゃあっ・・・・・・!」  恐怖で目をつぶってしまったが、エリスはとっさに自分に向け得られた攻撃を防いだ。重い一撃が聖刀の刀身に打撃を与え、やがてグリップに伝わった。両手に振動と痛みが走る。  エドワードは二刀流を振り下ろす敵の両腕を受け止めた。短い力の競り合いの最中、頭突きし相手を怯ませ、同時に左脚に弾丸を撃ち込む。悲鳴を上げる敵の首を腕で押さえ身代わりという盾にした。 「こ、こいつ、なかなか手強いぞっ!?」 「あいつを先に殺せっ!」  銃を持った3人の暗殺者がエドワードに向けて集中的に発砲した。だが、全弾は味方に当たり狙った標的には1発も当たらなかった。ハチの巣にされた暗殺者は無数の穴から血を吹き出しやがて死体と化す。  そして、味方を無駄に殺した3人も。全員の額の中心に大穴が空き硬直し倒れる。彼らは視界が黒く染まる最期まで何が起こったのか理解出来ずに逝った。 「それで本気を出してるつもりか?」  エリスは必死に剣を剣で食い止める。だが、力量は相手の方が勝っていた。守りを固めても徐々に圧倒されていく。全身に力を入れ抗ったが無意味に等しかった。 「うう・・・・・・くっ・・・・・・!」 「大人しく負けを認めたらどうだ?そうすれば楽に殺してやってもいいぞ?」  暗殺者が悪意のこもった口調で言った。その問いに素直に頷くはずもなかった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加