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エリスは強く叫んで、防御を崩し、斬撃が当たる前に後ろへ飛び下がった。支えを失った敵の長剣は狙いを外し、地面を浅く抉った。
「このガキがぁぁっ!」
手こずらされ苛立ちを感じた暗殺者は武器を引き抜き、刃先を槍のように突き出す。しかし、エリスはいとも容易くそれをかわし、横に回り込んだ。ためらいもなく聖刀を縦に振り下ろし、ブシュッと弾けた音と共に暗殺者の両腕は綺麗に切断される。
「ぎゃあああああ!!!!!」
暗殺者は耐え難い激痛に絶叫を上げた。真っ二つにされた腕を押さえ、うずくまりながらのたうち回る。
「ひっ・・・・・・!」
返り血を浴びたエリスは冷え固まった。顔を濡らす生温かい体液、鉄の臭い。自身がもたらした惨劇を目の当たりにし、精神を罪の意識で蝕まれる。
「何をぼんやりしているのです!?早く、止めを!」
横にいるエドワードが叫んだ。彼は空になった銃でかぎ爪を防いでいる。左手でナイフを抜き取り、敵の脇腹に深々と突き刺す。
エリスはと我に返り、意識をしっかりと保つ。目の前に倒れる敵はまだ生きている。彼女は震える手を抑え、聖刀をしっかりと握りながら剣先を下に向け
「・・・・・・ごめんなさい!」
短い謝罪を口にし、剣で胸を突いた。もがき苦しんでいた暗殺者は一瞬、体を痙攣させて動かなくなった。
「これで終わりではありません!次です!」
すかさず、エドワードは反撃を促す。エリスは慣れない感覚にかられ、気力を失っていた。不覚を取られてしまい、武器を手放してしまう。
「よくも幹部をっ!!ズタズタに切り裂いてやるっ!!」
怒り狂った暗殺者は斧を片手に突進してきた。
「痛っ・・・・・・!」
風を斬る音と共にエリスの顔に傷をつけた。ピッ!と血が跳ねて壁に付着する。同時に腹部に蹴りを入れられる。エリスは仰向けに押し倒され、背中を打ちつけてしまう。
「エリスさん!」
エドワードが生温かい死体を投げ捨て、駆けつけようとしたが、次の刺客が妨害してくる。2人係で取り押さえられ、身動きを封じられる。
「ひぃ・・・・・・!」
自分に迫る暗殺者に怯え、エリスは倒れ込んだ姿勢で必死に後ろへと下がる。恐怖で頭が混乱し、まともな判断どころか、立ち上がる事すらもままならなかった。
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