第2章 外の世界へ

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 食事と十分な休息を済ませ、エリスとアビーは地下室へと向かう。新たなに仲間に加わったエドワードとセシールも連れて。これから、騎士団による次の計画を練るための会議に移るのだ。部屋に降り立った4人は任務に関する地図や書類が置かれた中心のテーブルを囲み、配置につく。 「さて、始めるには、いい頃合いね。これから次にどう計画を進めるかを話し合いましょう。でも、まずはエリス。先の任務についての報告をお願いするわ」  指揮を取るアビーは作戦会議に移る前にエリスに任務の結果報告を促す。 「はい。テラの街にてセシールさんを救出した後、ジャンヌ・ル・メヴェルの居場所に繋がる手掛かりを入手。死告鳥の幹部の1人であるエドゥアール・ブレモンは死にました」 「素人とは思えない程、完璧過ぎる結果ね。やはり、あなたを騎士に選んだ私の判断は間違ってはいなかったわ」 「エドゥアールを殺害する前に仲間である別の幹部の情報を聞き出しました。幹部の名はグロリア・ヴィンデバルト。この国の街の1つ、ユピテルのどこかで暗躍している模様です」  エドワードも会話に混ざり、詳しい説明を加える。 「グロリア・ヴィンデバルト・・・・・・やはり、この国にいたのね。騎士団の情報は正しかった」  アビーは事態の深刻さを物語った苦い表情を浮かべる。 「あの・・・・・・」  今度はセシールが3人の注目を集め、ある事を口にする。 「私が死告鳥の刺客に襲われた際、妙な言葉を耳にしました。"聖乙女計画"・・・・・・これが一体、何を意味しているのか・・・・・・?」 「聖乙女計画?」  アビーが真剣な顔で聞き捨てならない台詞を真似て発言する。  「エドゥアールを拷問した際、奴が言ったんです。残念ながら、本人もその詳細を知らなかったようですが・・・・・・」 「はっきりとした確信は持てませんが、その謎の計画につきましては、例え幹部でも下級の立場の者にさえも知らされない重要な極秘内容なのでしょう」  エリスとエドワードができる限り、詳しい説明をする。 「聖乙女計画・・・・・・死告鳥の連中は、何かしらの大きな陰謀を練っていると解釈せざるを得ないわね」  アビーは今後の展開を予測し、単身でキルリストの元へ歩く。エリスにより討たれた死告鳥の幹部、エドゥアールの肖像画に黒い罰印を塗った。彼女はメンバーが立つ方を振り返り、話を進める。 「とにかく、死告鳥の幹部の1人を葬り、最初の任務はやり遂げたわね。早速、次の作戦会議へと移りましょう」  エリス達はテーブルに敷かれた現状を記す地図に注目する。あらゆる事を視野に入れ、これからの予定を話し合う。 「次は2人目の幹部、"グロリア・ヴィンデバルト"を葬るのが最適な作戦でしょう。この者を倒せば、ニューオルレアンに暗躍する死告鳥はいなくなり、敵の影響力は衰える。この国の解放は騎士団にとっても、大きな有益に繋がるはずです」 「エドワードの言う通りね。数々の秘宝や人には知られぬ技術を管理しているこの国は騎士団にとっても、重要な拠点となるはずよ」  アビーとエドワードは意見を合わせ、異議を唱える兆しはなかった。
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