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「さぁ…」
「さぁって、
学生だろうが仮にも俺以外の男と二人っきりになるんだから、
しっかりしてよ」
「しっかりってなんだよ。
考えすぎなんだよ。
バカ」
長谷川さんは何事でもないように笑い飛ばす。
だが俺としちゃ大問題だ。
都内の美大で講師を務める長谷川さんと付き合い始めたのは数年前、
そのころは美大の研究生だった彼と偶然地下鉄で出会い、
恋に落ちてからだった。
元々ノンケだったふたりがその恋を実らせるためにはそれなりの時間がかかったが、
今はもう昔の話。
一緒に暮らせる今の生活が俺の全てだった。
「バカですよ~。
…ん」
「もう…」
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