逃げる足、追う足

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堀炬燵の中で繰り返された足掻きのお陰か、念願かなって漸く交わされた視線。 耳まで真っ赤に染めながら、見張った眼差し。 眼鏡の奥の瞳の潤み。 阿呆。 足絡み取ったくらいでそんな顔して見てくんな。 俺の自慢のポーカーフェイスが崩れるっつーの。 すぐに逸らされた眼差し。 でも、今度は知ってる。 それが照れ隠しだということを。 もう逃さない。 まずはそうだな。 送り狼と化しますか。 今座ってる座布団の下にスマートフォンを忍ばせよう。 いつもより早いペースで少し飲み過ぎた彼女にはここで休むよう言っておけば、自然とそのスマートフォンを届けてもらえる筈。
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