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いやいや、ちょっと待って!
主任だってこのまま帰るでしょ?
またこのタクシーに乗るんじゃ……。
それなのに、今夜は各地で忘年会だから稼ぎ時のようで急いで街に戻りたいらしく、私達をここまで運んでくれたタクシーは無情に主任を置いて走り去った。
そりゃあ、料金払っちゃったらそう思うよね、普通。
主任のドジ。
「あの……タクシーすぐに呼びますね?」
私が鞄からスマートフォンを出そうとする手を「いや、良い」と言いながら下ろさせてあっさりと拒否する。
「……あのさ。こういう時はだな?良かったらコーヒーでも飲んで行きませんか?ニコッとか有るだろ普通。お前は無いの?そういうの。俺、寒いんだけど」
いやいやいや。
それは世間一般論として無理でしょう!
「主任、それはダメですよ。彼女居るのにそんな事を言っちゃっ。恋人に申し訳ないとか思いませんか?」
そこはきっぱりと私は怒って言った。
彼の彼女の為にも、自分の為にも。
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