蜜柑

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蜜柑

……だから、これは……あれだな。 お仕置きだ、お仕置き。 その鈍感さは罪に値する。 いつもいつも俺以外の奴にばっか、あんな楽しそうに笑い掛けやがって。 佐藤とか他の奴らにはもう、これ以上お前の笑顔見せなくて良いから別に。 いい加減気付かないか? 俺がお前に気があること。 『デートしたいな』 その相手、お前なんだけど。 願望?とか他人事みたいに笑うな、阿呆。 俺を家に上げたんだから、そろそろ腹くくれよ。 「お前も、蜜柑食えば」 一つ手に取って、皮を剥くと白いひげも丁寧に取ってやる。 これからお前の口に入れてやるものだから。 その一房をつまみ上げて彼女の唇に強引に押し付けてやった。 ほら。 困り顔で慌てふためいている。 はは、顔真っ赤。 ざまあみろ。 挙動不審に落ち着きなく目を白黒させて。 それすら可愛い。
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