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 ゆうき君の腕は、筋肉質ではあるがほどよく引き締まっている。肌はどちらかと言うと白く、体毛は薄い。一重の絵は笑うと弓なりになり、目じりに皺が寄る。その表情は親しみを感じやすい。歯並びが良く、煙草を吸っているのに歯が白い。話し方が柔らかく、低い声が耳に心地いい。最近、少しだけ前髪を切ったので、凛々しい眉毛が良く見える。唇の皮がむけている。リップは塗らない人なのだろうか。  「ゆうき君、面白い」  女の子とゆうき君が大声で笑った。漫画雑誌はテーブルに伏せてある。ぼくはすり切れた表紙に印刷されている文字を一つずつ読んだ。
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