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「昼からも行かれます?」
「……出来れば」
僕の食事の監視をしつつ、御坂さんがメモをしながら問いかけてきたから食べながらで行儀が悪いが答える。
御坂さんは僕のトレイを覗きこみ、既にほとんどなくなったのをチェックし、僕の顔色が悪くないか見ながら「うーん」と首を傾げた。
「解りました、行く前に詰所に声かけて下さいねー」
「はい」
御坂さんは僕の返事を聞き、そのまま笑顔で「では」と踵を返して出て行った。
──
────
部屋を出て、札をかけてから言われた通りに詰所へ寄る。
「すいません、また出てきますね」
「あ、はーい!気を付けていってらっしゃい」
詰所の戸をノックして声をかけると、パソコンと向き合っていた御坂さんが手を振ってくれたので、僕も手を振り替えし詰所を後にする。
"ちーん"
「おっと!」
エレベーターの扉が開くのと同時に小さな男の子が駆け下りてきた。
「ばあば!来たよー!」
「すいません、こら!病院内では静かにしなさい!走っちゃダメ!」
「あら~、いらっしゃい。よく来てくれたね~」
男の子はそのまま大きな声で走っていき、母親は見ていた僕に会釈をし、注意しながら子供の後をついていく姿が、微笑ましく、つい笑みがこぼれる。
以前は瑚白を真ん中に、亜黄と三人で手をつないで外へ行っていたのに──── 。
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