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外へ出ると木枯らしが吹き付けやはり寒い。
上着のポケットに手を突っ込み歩き、いつものベンチに座る。
辺りには井戸端会議をしているおばあさん達や、ジョギングしているおじさん。
ベビーカーを押し、小さな子を連れて散歩に来ているママさん達。
他にも昼休みなのか、書類を見ながら弁当を食べているサラリーマンがいる。
ボォーっとしながら通りを眺めていると、最近よく見かける親子が公園に入ってくるのが見えた。
「あっ!ママー!いつものおじさんがいるよ!」
「こら、声が大きいよ!」
入ってきた娘さんが僕を見て、振り向いて後ろを歩く母親に大きな声で話、母親が慌てて注意しているが、当の本人は全く聞いていない、それどころか……。
「おじさーん!」
くるりと振り返って僕に元気に手を振って来た。
「おじさーん!」
『パパー!』
「!?」
手を振ってくれた女の子が瑚白に被って見える。
今まで年が近いな~くらいで全く気にならなかった、娘に全く似ていない少女に娘の面影が重なるなんて──── 。
「こら!!」
重なる影、手を振られたことに驚いていると、少女の母親が慌てて気まずそうな顔をしながらお辞儀をしてき、そこで漸く正気を取り戻し、慌てて少女に手を振り替えし、母親にお辞儀をした。
少女を追いかける母親の姿に亜黄の面影はない。
だけど、元気に走り回る少女に娘とダブって見えてしまい、目が離せなくなった。
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