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「……外出は禁止ですか?」
不安になり尋ねてみた。
あの夢を見た日はどうしても部屋に籠っていたくない。
記憶がフラッシュバックするが、あの場所に行けば、幻だとしても妻と娘に会えるだろうかと願ってしまうのだ。
「……今日は気温が低くて身体に堪えるので本当なら許可しにくいですけど」
彼女はカルテに記録しながら少しトーンを下げて答えてくれる。
そしてペンが止まったかと思うと暫くして顔をあげた。
「一応、後押しはしてみますが、朝食の摂取量とその後の先生の往診次第ですね。」
そう言って白根さんは微笑んでくれたので、少し安心した。
「じゃあ、また後で」
くるりと踵をかえて部屋を出て行く彼女を見送り、そのままザァーっと引き戸が閉まるのをぼんやりと見る。
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